アプタマー アフェレシス 核酸医薬の開発|タグシクス・バイオ株式会社

シェーグレン症候群におけるドライアイDry Eye

シェーグレン症候群におけるドライアイ

Disease

シェーグレン症候群は、涙腺と唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患ですが、全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあります。シェーグレン症候群におけるドライアイは、口腔乾燥と合わせてひどい乾燥状態となり、涙がでない、目がごろごろする、目がかゆいなどひどくなると著しくQOLを損なう疾患で日本国内では難病指定を受けています(1)。

Patient

日本国内のシェーグレン症候群の患者は約68,000人とされていますが、潜在的には10~30万人と推定されます。そのうち、膠原病を合併しない原発性シェーグレン症候群の患者は全体の60%程度であり、原発性シェーグレン症候群のうちドライアイ、口腔乾燥の症状のみある患者は45%程度です。

Current Treatment

現在の治療法は、①涙の分泌を促進する、②涙を補充する、③涙の蒸発を防ぐ、④涙の排出を低下させる方法があります。高い効果を挙げている治療法もありますが、既存の点眼治療は根本的な治療法ではなく、目のかゆみ、目の刺激などの副作用や、薬効発現まで長期間必要とするといった問題点があり、新たな作用機序に基づいた治療薬の開発が望まれています。

抗IFNgアプタマー TAGX-0003

TAGX-0003は、当社独自技術である人工塩基Dsを含んだヒトIFNgを標的とする核酸DNAアプタマーで、ヒトIFNgに対して33pMという高い親和性と特異性を示します(2)。IFNgは、自己免疫性疾患の発症に関して最も中心的な役割を果たし、ドライアイの患者ではIFNgの過剰発現が確認されています。IFNgはドライアイにおいては杯細胞のアポトーシスを誘導させ、ムチンの発現を優位に減少させることが知られています(3)。
また、IFNgを介したシグナルがシェーグレン症候群におけるドライアイに関与しているという報告もされており(4)、IFNgを標的とした治療は、疾患の根本的な治療の一つとなりうると考えられています。

TAGCyxでは、すでにマウスサロゲートアプタマーを用いたマウスドライアイ疾患モデルの動物試験において、投与早期での臨床スコアの改善と、病理所見においてモデルによって生じる杯細胞数減少やCD4+T細胞増加を通常レベルまで回復させることを確認しています。
また、核酸アプタマーは高い水溶性を有しており、室温でも安定であるため、点眼薬としての開発はメリットがあると考えられます。 TAGCyxでは、TAGX-0003の非臨床試験を進め、早期の臨床試験入りを目指しています。

[Reference]

  1. 公益財団法人 難病医学研究財団/難病センターWeb site: https://www.nanbyou.or.jp/entry/111
  2. Architecture of high-affinity unnatural-base DNA aptamers toward pharmaceutical applications. Matsunaga K. et al. Sci. Rep. 2015; 5: 18478.
  3. Aqueous Tear Deficiency Increases Conjunctival Interferon-γ (IFN-γ) Expression and Goblet Cell Loss. Stephen C. et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2015; 56: 7545.
  4. Interferons and Dry Eye in Sjögren’s Syndrome. Ogawa Y. et al. Int J Mol Sci. 2018; 19: 3548.